作業服などの仕事上で着る「服」と税金の関係について

仕事をする時、作業服などの特別な服が必要になる職場は多いと言えますが、その際気になるのが税金の問題です。作業服などが経費として認められれば税金を安くすることが出来ますが、そうでなければ税金が高くなってしまうからです。

なのでここでは、作業服などの仕事で必要な服における税務上の扱いについて分かりやすく紹介します。

仕事で必要な「服」の税務上の扱い

「服」というのは、普段生活する上で必要なものですが、仕事をする上で重要な役割を果たすことが多くあります。例えば、警察官の制服は、その人が警察官であることを一目で確認出来るという役割を持っていますし、レストランのユニフォームは、お店の統一感を出すといった効果があると言えるでしょう。

そして工場勤務の作業服の場合は、安全確保や動きやすさなどを目的として着用する必要があるものだと言えます。これらの、職場で着用する「服」というのは、どれも仕事を行う上で必要なものだと言えますが、それぞれのケースによって税務上の経費と認められる場合と認められない場合があるのです。

そして「服」というのは、税務上の取り扱いではグレーゾーンの部分が多いということが言われています。

作業服は必要経費として認められるのか?

税務上の経費として認められる服とはどんなものかというと、まず挙げられるのは、使用者側がその服を着用することを強制している場合です。制服やユニフォームというのは、仕事をする時に必ず身に付けるように強制された服だと言えますし、従業員には選択の余地がないものでしょう。

ですので、例えば鉄道会社の制服や、レストランのユニフォームなどは税務上の経費として認められるものだと言えます。次に挙げられるのは、安全確保のために特定の服を着用しなければならない場合です。作業服は安全性を考慮して着用する場合が多いですし、その服を着なければ仕事が出来ないという状況も多くあります。

例えば工場で仕事をする場合は、さまざまな機械を扱うことが多く、危険が伴う作業も少なくないため、安全性に考慮した作業服の着用が必須になると言えるでしょう。ですので、こうした作業服に関しては経費として認められるケースが多いと言えます。

しかし、単に作業がしやすいといった理由では経費として認められない場合もあるため、注意が必要でしょう。

プライベートでも着られる「服」は経費としてみとめられない?

仕事をする時は、特別な服が必要になるケースは多いと言えますが、ビジネスマンの場合はスーツが制服や作業服のようなものだと言えます。決まった制服はないものの、ビジネスの現場ではスーツを着用していなければ仕事になりませんし、スーツ以外の私服を着ていったら、当然のことながら上司に怒られてしまうでしょう。

ですのでスーツについては、仕事で着ることを目的に購入するビジネスマンも多いですし、購入するためにはそれなりの費用もかかります。

そのため経費として認められてもいいのではないかと考える人も多いかもしれませんが、スーツというのは税務上の経費とは認められないことになっているのです。なぜスーツが経費として認められないのかというと、先ほど紹介した「使用者側からの強制」ではないとみなされるからです。

スーツというのは、制服と違って自分で自由に選ぶことが出来るため、強制性は薄いということが言えます。そしてスーツは、仕事以外のプライベートの場で着ることも可能なので、経費とは認められないという解釈の仕方もあります。

ビジネスマンの場合は、仕事のためにわざわざスーツを買っているという人も多いため、こうした扱いには納得いかない部分もあるかもしれません。ですのでビジネスマンは、制服や作業服が経費として認められる場合と違い、「服」の経費に関しては損をしているとも言えるでしょう。

グレーゾーンの「服」もある

ここまで、税務上の経費として認められる場合と認められない場合を紹介してきましたが、そのどちらに該当するのか分かりづらいグレーゾーンのケースというものもあります。

例えば接客業で着ることが多い着物やドレスについては、決まった制服や安全確保のための作業服とは違いますし、自由に選ぶことも出来るため、一見すると必要経費として認められないように思えます。

しかし、接客業で着る着物やドレスは、「仕事でなければ絶対に購入しない服」という考えに基づいて経費としてみなされる場合があるのです。水商売などの接客業で着る衣装というのは、かなり派手なものも多いため、プライベートで着ることに向かない場合が多いと言えるでしょう。

ビジネスマンのスーツと違って、接客業の衣装は職場でしか使えないという性質が強いということです。そして個人事業の場合は、着物やドレスについては「高額」である方が必要経費として認められやすい傾向があるとも言われています。

つまり、仕事をする上で必要だから高価な衣装を購入したという、必要性の高さが経費として考慮されるということです。なので、それほど高額でない普通の服の場合は、プライベートで購入したのか仕事で購入したのか判断しにくいため、経費として認められない場合が出てくると言えるでしょう。

そして、注意しておきたいのは、仕事のために購入した服であれば何でも経費として認められるわけではないということです。必要経費というのは、様々な状況や事実関係によって認められるかどうかは変わってくるため、よく分からない場合は専門家に相談するとよいでしょう。

作業服の所得税上の扱いについて

従業員が、会社から作業服を支給される場合の所得税上の扱いについては、基本的に非課税となり、給与所得として課税されないケースが多いと言えるでしょう。

ただし非課税の扱いになるためには一定の条件を満たす必要があります。その条件とは、まず、職場の通常業務で着用するもので、プライベートでは着用しないようなものということが挙げられます。そしてもう一つは、作業服などの支給や貸与が、その職場の従業員の全員、または一定の仕事に従事している従業員の全員に対して行われている場合という条件です。

またスーツに関しては、会社から支給される場合であっても、プライベートで着用することも可能なものであるため、給与の支給と同じだとみなされて課税対象になります。ただし、会社名の刺繍が入っているスーツの場合は、先ほど紹介した作業服の場合と同じような条件を満たすことがあるため、非課税になる可能性があると言えるでしょう。